老いを読み、考える
<読書>『老いを読む 老いを書く』酒井順子 講談社現代新書 2024
書店の「老い本」の棚が増えている。高齢化で老人比率が29%を超す時代。2015年以降は老人モノの出版(10~20冊)が多い、さらにマンガ、雑誌特集、等も老人もの(特集)が多くなっている。
老人の呼び方は、「老人→耄碌→ボケ→痴呆症→認知症」へと遍歴している。小説での始まりは、『楢山節考』(深沢七郎)から始まり『恍惚の人』(有吉佐和子)では、家族への迷惑が題材であった。『安楽死で死なせてください』もその一つ。
定年クライシス(定年論)は二つに分かれていた。「終わった人」、「第二の人生論」、「パパ活」など。つまり「老いたのだから我慢。もう一つの方向か元気を出せ、老人にも意地があると『老人力』(赤瀬川原)、『大往生』(永六輔)、『老人ゴジラ』(重松清)が奮起する。
老後も働け「一生現役論」「100歳まで生きる方法論」。「1人暮らしの生活論」へと続く、「暮らし方」、「料理健康法」、「体力のつくりかた」。「ぴんぴんころり」を理想とした死に方の推奨で「ぴんころ健康法」なども。これらの中には「終活論(断捨離本、老後資産論)」。
老いはどこ吹く風の「乙女老女」たち(黒柳徹子、角野栄子、田辺聖子、森茉莉)。一方、老いのテーマを取り上げて30年書き続ける(佐藤愛子)の勇敢な人もいる。さらには「老人の性」の指南書(『瘋癲老人日記』『疼くひと』『わりなき恋』など。老人論は奥が深い。
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