幻覚のまま目覚める
今日も、ICUの中で目覚める。約25ベッドあるICUは絶えず忙しそうに、医師や看護師、その他お手伝い様がうろついている。
ベッドの中だけではなく、今日からは、ベッドの横に椅子を置いてそこで体力つくりの準備だそうだ。何もすることなく椅子に座っていてもつまらないので、机と紙とボールペンを借りる。字を書く練習がしたい。だが、ボールペンが摘まめない、ポロリと落とす。
看護師が、「無理をしないで」「TVでも見なさい」、と言う。「嫌だ」とゴネる。「タダなんだから遠慮はいりません」、と。看護師が勝手にTVを持ってくる。すると箱根大学駅伝の復路である。駒場大トップらしい。
だが、幻覚が続く。幻覚とは、過去に見たボケ爺の一生に残っている映像だ。人はいない。石垣だったり、鉛筆の最後の詰めの模様だったり、シンメトリ4枚構成の版画のボケ爺のアイデアだったり、紙で作った立体壁掛けのボケ爺のアイデアであったり。
看護師が来て、「少しずつパイプや配線を外しましょう」、と言う。血液採集を半分ぐらいに。左の2本の針を1本に、右の手の針の一本をなくす。首ところは明日まで、となった。
次は、尿採取の3か所の最も深いものを抜く、「ただし一番痛いですよ」で、2本同時に抜いてくれた。鼻パイプは左路の酸素供給を残し、胃に送る薬や栄養素のパイプがあるらしい、結構長いが、スムースに抜けた。これで約半分になり、すっきりとした。
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