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2019年6月 3日 (月)

漱石の女性像

 漱石の発想法を研究している。ある業界紙にコラムを依頼されてのことだが。「漱石のビジネス脳」と「漱石の創造性」である。月一回で、約3年になる。

 阿刀田高は、漱石の文豪としての能力は高く買っている。しかし、漱石の女性の軽視には腹が立つようだ、だから、漱石の人格を否定している。

 本当にそうだろうか?江戸から明治にかけて女性の社会進出は、主張する女性へと変化。それをいち早く小説に登場させて、「男・女・男の三角関係」から、女性の立場の向上を賛同するかのように男女関係をテーマにしている。多くは、強い女性を主人公にして、男が翻弄される物語が大半を占めている。

 漱石には、気になる女性は5人いたという説がある。嫂であり、京都のインテリ芸者であり。総じて美人である。だが理想とする女性像は、別にあるようだが。

「色の白い割に髪の黒い、細面の眉毛の判然(はっきり)映る女である。一寸見ると何所となく淋しい感じが起こる所が、古版の浮世絵に似ている」。「美しい線を奇麗に重ねた鮮やかな二重瞼をもっといる。眼の恰好は細長い方であるが、瞳を据えて凝(じっ)と物を見るとき、大変に大きく見える」。は、「それから」の美千代である。

「・・頬は何時もより蒼白く自分の眸人(ひとみ)を射た。不断から淋しい方靨(かたえくぼ)さえ平生(つね)とは違った意味の淋しさを消える瞬間にちらちらと動かした」。「・・・その唇の両端にあたる筋肉が声に出ない言葉の符号(シンボル)の如く微かに顫動(せんどう)するのを見た」。「行人」のお直(嫂)でる。

 漱石にしては最もエロチックな表現は、「昔美しい女を知っていた。その女に後ろから頸筋(うなじ)をなでて息を吹きかける」。女を感じさせるシーンがある。「文鳥」から。

夏目漱石の作品はそれぞれ奥が深い。まだまだ研究すべきことが多い。

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