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2015年9月29日 (火)

負けない力?

 「負けない力」(橋本治 大和書房)を読む。「負けない」の反語は「勝つ」ということではない、と思う。「勝つ」の反語は「負ける」である。「勝つ」とは、「競争に勝つ」ことだろう。自分に勝つ、ということにも使われるが。

 「負ける」に対して、「負けない」は「勝つ」と言う「勝負言葉」ではない?この世(経済成長)は、「競争社会」で、「勝つ、負け」の2極を言う。これからの世(成熟社会)は、勝たなくてもいいけれど、負けてはいけない「生物の維持論(生物生命論)」を目指すべきなのだ、とも考えられる。

 「負ける力」(藤田和博 ポプラ新書)なる本がある。結論は、「他人の力を借りる(共同体)ことが良い。「借りる」ことは負けている事に相当。勝つと思わず、他人の意見と共存できるように、「他人と率直な意見交換」をすればいい。であった。

 「負けない力」とは、「知性」を使え、が結論。知性とは、「頭良い」、「成績が良い」とは違うことだ。頭が良いは、IQで測れる。成績が良いは、偏差値で測れる。だが、知性、は測れない。

 知性は、「知識」ではない。人間が本能的に持っている「器用な」「集中力」「努力」とも違う。

先日、TVで、小象が、穴に落ち込んだ。クレーンを持てきて、綱で引き上げると、その小象は生き残れない、と言う。穴を大きくして、動きやすくして、自力で這い上がることを考えさせれば、生き残る術を知る。これが小象の知性である。

日本人は教養主義が大好きだ。つまり、知識偏重主義者だ。これは誰か先人の「考え」を覚える事に専心している。学ぶべきことが無くなると、目標を失う。今の企業活動と一緒だ。先生がいなくなって、何をすればいいのか分からない。

今の日本は、江戸時代のように、鎖国が必要だ。鎖国すれば、今までの知識の活用に、独自性を考える。知恵が生まれ、文化が生まれる。そこに知性が培われる。

知性とは「他人の知性を認める能力」である、と。自分では知性があるとは認識できない。負けないためには、考える力を持て。「知性は他人を認める」。つまり、「負けない力」と「負ける力」は、見事に一致している。

ビジネスの世界でも同じだ。1番でなくてよい。3番、4番でも、利益(知恵、知性)を出して、生き残ればいい。これが「負ける力」「負けない力」である。どうして勝とうとするのだろう?

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