「中川一政」
ボケ爺は、変り者である。ヒネクレ者である。誰もが認める?自分では自覚していない。自分だけは真面目だ、と思っている。自覚もしている。そんな意味で、「中川一政」も同じ、だと思える。
「腹の虫」中川一政 中公文庫を読む。日経の「わたしの経歴書」に記載された自伝である。文庫本で、160ページ程度だが、一週間もかかってしまった。中身が濃いい。自説の教訓が多く、納得しながら読む。「私の処世も仕事も腹の虫のなせる業だ」と言い切る。
「人は感動を感じて生きる」、だから、自分が感動を受けない絵は腐っている、とも。中川一政は画家である。奇想天外な絵を描く。だがすべては生きている。師を持たない画家である。独学の画家である。中央会院にも距離を置く。ボケ爺は真鶴まで追っかける。ゴッホや、セザンヌを独自で学ぶ。
ボケ爺は、ピカソ、クレー、ミレー、三岸節子、林武、織田広喜、も好きなのだが。「腹の虫」を読んで、驚いた。文章、履歴書の書き方まで、ハチャメチャである。しかしそれが、かえって迫力がある。すごみのある文体となって伝わる。絵画の表現とよく似て、生き続けている。何故だ。驚きだ。感銘だ。
ボケ爺は、土屋賢二(哲学者)のユーモアのある論理が好きだったが、ここに又一人先生が現れた。絵画だけでなく、文体も、中川一政は、ボケ爺の師となった。
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