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2010年10月11日 (月)

今年のノーベル化学賞

 日本人の受賞が決まった。大変にうれしいことである。それも50年前の基礎研究に与えられた物である。この基礎研究が数多くの機能材料を実現し、今日の革新的な商品の生みの基礎となっていることに驚きを隠せない。カップリング技術、と言うらしい。ボケ爺に馴染みの多い事業分野で親しみが湧く。

 資源を持たない日本は、このような基礎研究から基礎技術によって、新しい材料を生み出さなければ、資源大国につぶされる。科学は無限の可能性を含んでいる。取り分け、有機化学の合成力には機能材料の革新に夢がある。無機材料の物理学も当然、夢がある。

 この20年で見れば、日本は研究費用の伸びは8%に過ぎない。GNP比率で言えば、過って2位が、今では6位に落ちでしまっている。中国が2位に躍進している。理工系大学進学率は約半分だ。ここに、日本の未来は無い。実績が出るまでに30年~50年が掛かる長期投資である。今伸びている韓国、中国、シンガポールは、日本がバブル崩壊した頃から急激な投資をして今日を迎えている。取り分け中国、韓国の他国大学への進学率が異常な増加である。

 ポスドクが増え、派遣研究員化して、3~5年で、職(研究所)探しでは、研究が商品化してしまい、未来研究はおぼつか無い。企業にいたっては、基礎研究を止めてしまって、研究を買うか、M&Aでしのぐ事が奨励されている今日である。

 10年後まで、日本のノーベル候補者は行列をなしている。1970~1995までの蓄積があるからだ。1997年以降の研究内容は不安が一杯だ。20~30年後の社会は、日本発の基礎材料、基礎研究、基礎科学など無くなってしまうのだろう。世界中、2035年ごろが最も苦しい社会となっているだろう。その頃での貢献は、日本から出せないだろう。

 繰り返しになるが、① 長期の勉学環境に投資。② 基礎学問、研究に更なる投資。③ 自然(生物植物)に学ぶ研究をおろそかにしてはならない。④世界に羽ばたく。事だろう。さて、次の戦争は、生物資源になる。

<読書>

「未来を変えるちょっとしたヒント」小野良太 講談社現在新書

ヒントの言葉に騙されて買ってしまった。ヒントのようなノウハウ本ではなかった。未来を変えるためには「夢を見る」「明るい夢を描く」ことだ、が結論だ。

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