己を知ることの難しさ
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」は孫子の兵法での基本である。どの企業も、スポーツなど競争しなければならない宿命に、この基本がある。だが、相手の本質を見極めるのは難しいことである。ボケ爺も未だに正しく判断は出来ない。
間違いの多くは、敵を過大評価したり、過小評価したりするからである。敵を過大評価するのは、後発企業が陥りやすいワナである。欧米に未だに劣等感を抱いている日本はその代表である。サッカーのオシム元全日本代表監督曰く「日本人は研究熱心が故に、相手を過大評価してしまう」と言う。その癖は、「模倣するから自由を奪ってしまう」「独創的なアイデアを殺してしまう」で、過大評価が日本の弱体を露呈している。
敵を知る前に、己を知ることが肝要であるが、難しい。敵を過小評価してしまう傾向は、敵を敵として認知したくないとの、人間心理から来る、と思う。先発優位に居る立場が陥りやすいワナである。日本は韓国企業を、あるいは韓国のスポーツを、心理的に認めたくなく、軽視している。だからほとんどで、負けてしまうこととなった。特に日本の電機メーカには顕著に現れている。
新興企業や、異業種参入者は、異なる戦略で、異質な市場セグメントで攻めてくる。相手を異質だと思い込むと、冷静な判断が出来なくなってしまう。敵を知るとは、「生存環境の危機」を知ることである。己を知るということは、「異質な相手でも自分の生存仲間」と認知する事から己を分析、判断する事だ。
<読書>
「旅ゆけば俳句」江国滋 新潮文庫
まさに俳句旅行であるが、同時に、美味いものの食べ歩きでもある。こんな優雅な生活をして、本が書け、お金がもらえるには、作家家業の冥利に尽きると、言わざるを得ない。実に中身は濃いのだが、いささか羨ましさの妬みで、読み飛ばすことが多い。
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