精神力を鍛える
梅雨に入ったと言うが、ここスウォン市(ソウルの近く)は雨が降らない。晴天までとはいかないが、そんな天気の中、土曜日出勤である。スウォンの街は、たいていの陸橋には、紫のペチュニアが欄干一杯に植えられている。道路のいたるところにも、ペチュニア、マリーゴールド、ガーベラ、三色スミレなど、美しく街を飾っている。
以前、済んでいたブンダンの街は、街灯の中間にいろんな花が冬を除いて、四季を通じて吊るされていた。混み入ったアパート住まいに豊かさをもたらしている。心の和み、精神的な安定に寄与していると思う。そんな国の余裕に驚いている。
下期の業績向上を目指し、役人の団結で精神力をもって結集しようと、精神力を鍛える山登り大会が行われた。今更精神力でもないが、韓国にはまだ良き気質が残っている。高尾山程度の高度であるが、四つの山を登ることになっていた。約4時間半(9km)程度の道のりである。いつもの2倍はあるだろう。
三つ目の頂上近くでは、ほぼ疲れきって、動けなくなっていた。ふと目に留まったのが、片隅で、一輪の痩せた鬼ユリの花が、夕日に照らされて、橙色のビロードのような肌をまぶしい位に輝き光っていた。広葉樹の生い茂った暗闇から、妖精が現れた驚きを味わった。たった一輪である。そこに夕日が僅かな隙間から降り注ぐ、と言う偶然に、幸せを感じた。疲労も多少は柔らいた。
これからは下山だと思いきやさらに一山登る事となって、足がつり始めた。足に気をつかうのと、息苦しさで、苦しい。それでも、トップを目指して頑張ったが、最終的には、25人中6番目で下山できる事ができた。年齢別では、トップである。多くは、ボケ爺よりも10才から15才は若い。ボケ爺、恥ずかしいほど年寄りなので自慢は出来ない。
<読書>
「藤沢周平の言葉」 高橋敏夫 角川SSC新書
副題に、ひとのこころにそっとよりそう、となっている。遅く作家生活に入った周平は、それまでの生活での出来事を思い溜めていたのであろう。情景描写が多い作家でもある。英雄でも、高位の人物でもなければ、市井の人を描ききった作家である。それは、人には闇(屈曲)があり、微光があり、その絡みの表現が、平凡な人を描ける、と言う。ボケ爺の好きな理由もここにある。
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