年始の辞
企業では、激動の2009年が始まった。各企業の年頭の辞には、共通する所感がある。ボケ爺も、もし、トップであれば、同じような事を言ってしまうだろうな、と、思い注意深く分析を試みてみた。
多くは、「世界中が100年に一度の経済危機に直面している」から始まる。「今こそ、イノベーション(技術改革)が必要なとき」「不況突破の鍵はイノベーション」「誰も作っていない物を作る」など、技術革新に檄を飛ばす。しかし、「言うは易し」、である。今までの怠りを反省するが遅すぎないか?
「次の飛躍に備えて」「基本に返り」「変革を進める」など、経営論に言い及ぶ。分からないところでは「健全な拡大」などの言葉もある。「逆境に耐えてこそ、大きな成長」が期待できると、思っているらしい。それでは今まで、何もしていなかった事を証明しているようなものだ。
さらには、「先を読む」「現場のデータを分析して、変化の予兆を捉える」「甘えが無かったか、原点に戻って」「反転攻勢を仕掛ける」「積極的な守りを意識した経営を」など、自己反省はいいのだけれど、そこに原因があるわけではない。時代は変化している。時代錯誤型の所感はいただけない。
この経済危機を、「悲観的に捕らえず、好機と捉えて」「戦略性のある投資が、今がチャンスである」「日本の底力を信じて、攻めよう」と勇ましい空元気型の方も居る。
ボケ爺はトップでなくて良かった。なぜなら、このような「空虚な事」を言わなくて済んだからである。ボケ爺の好きな言葉に、中国のことわざであるが「隗より始めよ」である。本田宗一郎も良く使っていたそうだ。何事にも行き詰ると、この言葉を思い出す。今年は丑年である。牛歩千里であり、五里霧中でありたい。
<読書>
「密会」吉村昭 講談社文庫
ノンフィクション作家の初期に、こんなフィクションか、ノンフィクションか分からない、不思議なミステリー風で、「男と女」を描いた短編が数多くあったとは、真に驚きである。新年早々、良いお年玉となった。
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