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2006年5月23日 (火)

感情と個人差

 感情に個人差があることなんて、当然です、と思っています。同じ花を見ても、同じ本を読んでも、同じ映画を見ても、感動する人、しない人が居ます。恋人には感情に同情してくれる人を選ぶのが常識です、と思いきや、脳を鍛える観点からは、自分と違和感を感じる人の存在が貴重なのだと言う、その人は脳科学者で有名な、茂木健一郎である。

 色、形や音などは個人差が少ないのだそうです。しかし、好き嫌い、喜怒哀楽といった感情の反応は個人差がかなり大きく現れるのだそうである。

 人は生きる上で、遭遇する不確実な状況に対処するために感情は進化した。不確実な状況の下では正解を一つに決めきれないから、感情の働きを通じて判断し、行動する事で人間は生き延びてきたと言っても過言でないらしい。

 答えが一つでないから、その答え方に、人によって採用する「戦略」が異なってくる、と言う。どうなるか分からない局面で「さまざまな戦略」(=感情の反応)を取れるから生き延びてこれたのである、とのことだ。つまり人は「曖昧な意思決定を戦略的」にしていることになる。それが前頭葉を刺激して活性化しているし、脳を鍛えている事になる、と言う。

 一般には、感情的にぶつかる人に出会うと不愉快になる。そんな時、「アア、この人は不確実性に対して私と異なる「戦略」をとっているのだ」と、思うことにすれば腹も立たないであろう。「感情の多様性」が「豊かな社会」を作り上げているらしい。ぶつかり合う感情が、「脳を鍛えている事」になる。「前頭葉の活性化」に良いと言うである。さて、ボケ爺がボケないようにするために、夫婦喧嘩は「戦略」として大いに続けておかないといけない、と改めて考えさせられる。

<読書>

「秘密」池波正太郎 文春文庫

こんなに多様な場面で展開させられ、それについていけると、脳は鍛えられる事間違いなし。偶有性で、人の気持ちは逐一変化してくる。そんな変化を複雑に操る様はさすがに、池波でなければ描けない。とにかく面白い。

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